2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

書評‐村上龍「歌うクジラ」-村上龍版「神曲」

電子書籍版のみの発行(書籍化予定あり)・価格が1500円という事で、物理的にも金銭的にもアクセスのしづらい「歌うクジラ」。ipadを購入してまで読む価値はあるかというと残念ながら首を傾げるが、アクセスが出来る環境にあればぜひ読みたい一冊。何せ村上…

書評‐平野啓一郎「ドーン」‐未来から現在への架け橋どーん!!

「決壊」を読み、あれ平野啓一郎っておもしろい?となり、「ドーン」で、ああ平野啓一郎って面白いんだ、と初めて実感した。処女作「日蝕」で平野作品を挫折した人は意外に多いんじゃないかと思う。ご他聞に漏れず僕も敬遠していた口だが、そんな挫折感を取…

書評-竹内政明「名文どろぼう」-どろぼうする技術すらも売り物になる

こいつは、なんてぃどろぼうさんでぃ! まるで、かの有名な石川五右衛門みてぇじゃねえかい。 「名文どろぼう」という表題と「上手に名文を引用する技術」と書かれているから、よし名文を拝借してやろう、なんていうドロボウ根性で読み始めるかも知れないが…

感想‐唐辺葉介「暗い部屋」‐暗い部屋の窓はすでに開いている

死との距離の近さに目が潰れる「PSYCHE」。魂の不安を描いた傑作「犬憑きさん」。 知る人ぞ知る唐辺葉介の最新作「暗い部屋」、発禁処分を受けた本作への不安と期待の大きさといったらなかったと思うが、良くも悪くも期待を裏切る内容だったと思う。期待する…

書評-湊かなえ「告白」-嘘と本当の境目をよむという事

これを読んで、あらためて、告白って何なんだろうと思った。 本書は「告白」の表題のとおり、前編に渡り登場人物たちの告白によって物語が進んでいく全5章立て。彼らよって語られるそれぞれの告白は、新たな告白を呼ぶ。推理小説を思わせるその驚きとハラハ…

2010年6月の読書履歴

読んだ数:14冊 読んだページ数:4165p でした。今月はライトなSFが少し多かったです。と言っても、用語自体はかなりディープ。 どうしてもつっかかりながらの読書になりました。ライトと言われているのはキャラクター造形。 人様の言葉をお借りしますが、ど…